ここにページタイトルまたは説明


  

ココロとカラダのコラム0059:症状の「意味」を問うこと

←前の記事    次の記事→

我々のような治療家、セラピストの仕事は、患者、クライエントが抱える様々な症状を高い技術でもって取り除き、快適な生活を取り戻させることだ──というのは本当だろうか? 少なくとも私は少しもそんなふうには思わない。

それはずっと以前の1人の患者との出会いだった。その人──仮にSさんと呼ぶことにする──は全身的な体の不調を訴えて病院にも通いながらウチにも来ていた。
ウチのような治療院も様々な検査を行って問題点を探し出し、それを治していくという点では病院と変わらない(ただ行う検査が病院のそれとは違うだけで)。そしてSさんに対しても同じようにそれを行っていたのだが、不可解なことがあった。Sさんの治すべき問題点は回を重ねるたびに少なくなっているはずなのに、Sさんの状態がどんどん悪化していたことだ。例えばウチでは患者着に着替えてもらうのだが、最初の頃、Sさんは着替え室からベッドまで普通に歩いていっていたのが、その歩き方が徐々におぼつかなくなっていき、ついには壁を伝え歩きしないとベッドまで行き着けなくなってしまった。
私も「何か重要なことを見落としてしまっているのではないか」と更に様々な検査を行っていったが何も見つけることはできなかった。Sさんはどんどん治っているはずなのに、どんどん悪くなっていたのである。

手持ちのカードを使い切ってしまった私は、半分苦し紛れにSさんにフォーカシングを使ってみることにした。フォーカシングはそれ以前にたまたま図書館で文献を見つけて、面白そうだからとちょっと勉強していたもので、自分自身の体と対話する心理療法テクニックの1つだ。
臨床で使うのはそれが初めてだったため最初はぎこちなかったが、何回かやっているうちにSさんのフォーカシングがメキメキ上達して文字通り体と対話できるようになり、そこで状態が悪化していく原因が明らかになった。
Sさん自身も覚えていなかったらしいが、ウチに来る1年ほど前、Sさんは何度か自殺未遂を繰り返していたのだという。そして、そんなSさんの体は「また元気になったら同じことをしてしまうんじゃないか」ということを危惧して(Sさん自身の意思ではなく体が自主的に)筋肉の力を出づらくしていたらしい(自由に体が動かせなければ自殺もできないから)。

この自殺未遂の件は、後で家族の人と話をすることがあって、事実だったと聞いた。また、フォーカシングでこのことがわかった後、Sさんの不可解な筋力低下は嘘のように改善した。状態が悪化しているように見えたのは、体が意図的にそうしていたことだったのだ。

ちなみに上の話は特殊なケースではない。例えば、喘息のような咳の発作に悩んでいたある人は、実は言えずに飲み込んできた様々な思いがあって、それを体が言葉の代わりに咳という形で何とか出そうとしていたのだ。だから不用意にその咳を止めてしまうことは、表面的な改善と引き替えに、その人にもっと大きな問題を生じさせる危険性がある。

そう、重要なのは症状を取り除くことではない。症状の「意味」を問うことなのだ。

関連コラム コラム0002:経絡経穴の反応を読む  コラム0010:一発で治る?



埼玉県草加市、川口市、八潮市、越谷市、東京都足立区千住、竹ノ塚の心身統合治療室
キネシオロジー(カイロプラクティック)、クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)、鍼灸(はりきゅう)、メディカル・アロマテラピー、フォーカシング、波動療法の総合整体治療院
蒼穹堂治療室(そうきゅうどうちりょうしつ)のホームページ
蒼穹堂治療室トップページへ

 キネシオロジー&クラニオ

  
 埼玉県草加市吉町2-3-10
  レジデンス草加1-B
  TEL:048-922-7695
9:00〜13:30(月曜除く)
17:00〜20:30(土曜除く)
  日曜・祝日休診
   電話予約制



Copyright© 2008-2009
蒼穹堂治療室 All Rights Reserved.
Powered by k2-s.com
Contents of This site
蒼穹堂治療室トップページへ
このページは…

蒼穹堂治療室が臨床を通じて見たこと、感じたこと、思ったことを綴ったコラムです。