ココロとカラダのコラム0027:心理的逆転を持つ患者
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蒼穹堂治療室は保険のきかない自由診療のみの治療院だ。施術料も他に比べると高い部類に入るのではないかと思う。そんな治療院には、だから自分が治ることに非常に強いモチベーションを持った人が来るだろう、と思いきや、必ずしもそうではない。
HPの別のところにも述べたが、私は来た人全員に凄い結果を出しているわけではない。自分の持てる全てを注ぎ込んでも十分な結果が得られないことは、しばしばある。それはもちろん私の技術や知識が足りていないせいもあるのだが、原因はそれだけじゃないことに、ある時気づいた。
過去にこんな患者がいた。
その人(女性)には、わざわざ遠くから来てもらったのに、悲しいくらい何の結果も出せなかった。その治療の最後に「これで終わりですか?」と聞かれ「これで終わりです」と答えた私に、彼女は悲しそうでも悔しそうでもなく、むしろ嬉しそうというか、まるで勝ち誇ったような不敵な笑みを浮かべ、そして悠然と帰って行った。その顔は今も忘れられない。
心理(学)的逆転(Psychological Reversal)というのがあるのを知ったのは、その後のことだ。心理的逆転とは、その人の表面的な意思や言葉と潜在意識との間に矛盾が生じている状態を言う。治療院に来る人で言えば「早く治りたい」と言い、本人も表面的にはそうしようとしているが、潜在意識では「治りたくない。このままでいたい」と望んでいるのである。こういう場合、顕在意識に比べて潜在意識の方が圧倒的に強いから、どんな治療を受けてもほとんど/全く改善しない。
そして、心理的逆転というものがある、ということを知ってから、治りの悪い何人かの人で調べてみたところ、非常に高い割合でそれを持っていることがわかった。
では本来、苦しく不快であるはずの病気の状態をなぜ潜在意識は望んでしまうのだろう?
もしかしたらその人は潜在意識の中で「病気で苦しんでいると周りが自分のことを気に掛けてくれる」と感じているのかもしれない。あるいは「ここで簡単に治ってしまったら、今まで苦しんできたことが全て嘘になってしまう。そんなの許せない」と思っているもかもしれない。また、私が実際に診た人の中には、「自分に対する罰」として症状を自ら作り出している人もいた。
そういう人たちに対しては、その状態のまま肉体レベルでいかに治そうとしても決定的に限界がある。何しろ患者自身が意識しないまま思いっきりブレーキを踏み込んでいるのだから。なので、そういう人を診る場合は、たとえ一時的でも心理的逆転がない状態にしておかなければならない。だから本来の症状の治療と同時に、どのような心理的逆転がなぜ起こっているのかを調べ、それを取っていくことが必要だ。
あなたも、どこに行ってもよくならない問題を抱えているなら、それは今まで受けた治療や施術が悪かったから、というだけでなく、あなた自身が気づかないうちに治らないようにブレーキを掛けているのかもしれない、という可能性も考えた方がいい。
さて、あなたは治らないことでどんなメリットを受けているだろう? 治ることで失うものは何だろう?
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