ココロとカラダのコラム0008:腰痛は怒りである?
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『腰痛は怒りである』(長谷川淳史 春秋社)という本がある。以前参加していたセミナーで知り、腰痛で来ていたある患者に紹介したところ、その次の治療で「あの本を読んだら、腰痛が取れてしまいました」と言われた、いわくつきの本(笑)だ。
この本は、自分自身がひどい腰痛に悩み、いろいろな治療を試みたが一向によくならなかった著者がTMS療法というものと出合い、自分で腰痛を治したその経験から、さまざまに言われている腰痛の原因──姿勢が悪い、椎間板が飛び出ている(いわゆるヘルニア)、背骨が変位している、骨盤が歪んでいる、などなど──を検証しながら、多くの腰痛の真の原因は心因性であり、抑圧された怒りの感情が関係している、ということを書いている。
(ちなみにTMS療法とは、「心理的な緊張が筋肉に何らかの変化をもたらし、それが痛みとなって現れる」というアメリカ人の医師、ジョン・E・サーノの提唱するTMS(緊張性筋炎症候群)理論に基づいた療法だという。日本語のサイトでは「腰痛治療の革命」などという派手な言葉も踊っている。)
実際、これまでかたくなに「腰痛の主な原因はヘルニアだ」と主張してきた西洋医学からも、腰痛の約80%は肉体的な原因を見つけることができず、その多くは心因性であろう、という見解が出てきている。そこからも、『腰痛は怒りである』が述べていることには一定の信憑性があると考えていいだろう。とはいえ、要因となる感情を「怒り」だけに限定してしまっている点は私には納得しかねる。身体症状をもたらす感情は「怒り」だけではないことを私自身が経験しているからだ。
実は以前、カネのことで大きな不安を感じる出来事があり、その時、首が回らなくなってしまった。その後、その不安が一応なくなると、また首が回るようになった。よく「借金で首が回らない」といった慣用表現があるが、この言い回しは本当に的を射ていている。
話を戻すと、痛みに限らず身体症状として現れているものの裏には、肉体的な要因だけでなく心理的な要因が隠れている、ということを念頭に置いておかなければならない、ということだ。何でもかんでも背骨を矯正すれば、骨盤を調整すれば、それで治る、などというのは都合のいい幻想に過ぎない。
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