ココロとカラダのコラム0058:首へのアジャストを受けてはいけない人
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この記事はカイロプラクティックの施術を受け(てい)る人に対してのものだが、治療院、整体院には「カイロプラクティック」とうたっていなくても、どこかで習い覚えたカイロ的なボキボキっというアジャストメント(手技による骨格矯正)をやっているところが少なくないので、多くの人が知っておく必要のあるものだと思う。命に関わることだから。
まず最初に断っておくが、キチンとした技術を身に付けた施術者によるアジャストメントとかスラストと呼ばれる手技矯正は、非常に安全性の高いものだ。
問題なのは、1日セミナーなどでにわか勉強した施術者が、ちゃんとした検査もせずに患者サービスみたいな目的で不用意に行う、特に首へのアジャストである。
といっても、私がここで警告しているのは、アジャストに失敗して周囲の軟部組織を傷め、寝違えのような筋挫傷を起こしてしまうことではない。これはこれで問題ではあるが、損傷部位をちゃんと冷やして状態を管理すれば、ほぼ自然に治癒するのだから。
そんなものよりもっと深刻な問題がある。
頭部を栄養する動脈には頸動脈のほかに椎骨動脈があって、椎骨動脈は頭部に向かう血液の約20%をまかなっている。この椎骨動脈は頚椎のすぐ横を走行するのだが、頭蓋の中に入る前には急なS字カーブを描いていて、この部分はアテロームなどが特に付着しやすいのだ。
仮に椎骨動脈の内壁にアテロームが付着していると、ボキッという首へのアジャストによって、それがベリッとはがれることがある。そしてそのはがれたアテロームが血流に乗って脳に運ばれ、そこで血管に詰まれば脳梗塞、心臓に運ばれて血管に詰まれば心筋梗塞を引き起こす可能性がある。
ちゃんとした治療院なら、頚椎のアジャストをする前に、アジャストして大丈夫かどうか確認しているはず。問診や触診で動脈硬化がないかどうかを調べるのはもちろん、それを調べる簡単なテストがある。
バレ・リーウ・テストとかバレーリュー・テストとか呼ばれるテストがそれで、首を回旋した状態で30秒程度保持させ、そこで患者が気分の悪さ、めまい、ふらつきなどを訴えないかどうかを見る。これを右回旋、左回旋の両方で行う(このテストには様々なバリエーションがあって、例えば患者に左・右斜め前を見上げるように首を動かしてもらって行うこともある)。
もし椎骨動脈の内壁にアテロームが付着していれば血管内腔が狭くなっているので、上のような動作で椎骨動脈を更に狭めるようにストレスをかけると、脳が一時的な虚血を起こすのである。
私が昔、カイロプラクティックの学校に行っていた時は、このことはアジャストについての禁忌事項としてうるさく言われたものだが、そういうことも知らず、不用意にボキボキやっている治療院、整体院もあると聞く。くれぐれもご注意!
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