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ココロとカラダのコラム0078:四十肩・五十肩について

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治療院で臨床をしていると四十肩・五十肩という言葉をよく聞くが、それは単なる俗称で、正式な診断名ではない。俗称でも例えば「もうちょう(盲腸)/もうちょう炎(盲腸炎)」はほぼ間違いなく虫垂炎のことを指すが、四十肩・五十肩という言葉が指すのは、もっとあいまいで分かりづらいものだ。

まず狭い意味の四十肩・五十肩は、肩関節周囲炎のことを指す(日本整形外科学会では、五十肩を肩関節周囲炎の別称と位置づけている)。
肩関節周囲炎とは、肩関節を構成する骨、軟骨、靱帯、腱などの組織に炎症が起きたもので、原因はオーバーユース、関節包内の石灰沈着、回旋筋腱板の断裂などがある。肩関節周囲炎はレントゲンなどの画像診断によって確定するが、次のような特徴的な経過を辿る。
急性期:肩を動かそうとすると激痛が生じるほか、動かさなくても痛む安静時痛や痛みで夜も眠れない夜間痛などが現れる。この時期はとにかく炎症を広げないように肩を動かさず、安静にしていることが肝心(無理に動かそうとすると、より悪化する)。
拘縮期:夜間痛も減り、痛み全体が軽減してくるが、肩関節の可動域が狭い拘縮の状態。この時期から、痛みの度合いに合わせて少しずつ関節を動かしていく。
回復期:痛みも特定の動作をした時や可動域を更に広げようとした時などに限定されてくる。この時期は関節の運動制限が残らないように、積極的に関節を動かすようにする必要がある。
なお私の経験上、肩関節周囲炎(の特に急性期)の場合は、ウチのような治療院、整体院よりも整形外科に行って痛み止めを打ってもらった方がいい。急性期に治療院や整体院でできるのは、炎症が必要以上に広がらないように、ひたすら冷やすことくらいしかないから(中には急性期の肩関節周囲炎でも簡単に治してしまう、本当に凄い治療家がいるかもしれないが、そういう人は外に向けて「私はゴッドハンドの持ち主だ」などとは決して言わないものだ)。

次にやや広い意味の四十肩・五十肩は、痛みがあるなどして肩関節があまり動かせない状態をいう。ここには肩関節周囲炎も含まれるが、肩関節周囲炎かどうかの1つの鑑別ポイントは夜間痛の有無である。
肩関節周囲炎ではなく、それでも痛みなどがあって肩の可動域が制限されている場合、原因は筋骨格系の問題以外からも広く考えなければならない。例えば、肝臓が腫れていてそこに引きつれが生じ、結果として(右)肩の動きが制限されることもある。また心臓疾患によって(左)肩に関連痛が出ることもある。場合によっては糖尿病が原因となって起こるもの(糖尿病性肩関節拘縮)もある。なので、アジャスト(矯正)一発とか鍼1本で解決、というのはあまり期待しない方がいい。

最後に非常に広い意味の四十肩・五十肩で、これは単純に肩を動かすと痛いというだけのもの。本人はしきりに「四十肩/五十肩になった!」と訴えるのだが、調べてみると痛みがあるだけで可動域の制限も(もちろん夜間痛も)なかったりする。
こういうのは、ひたすら揉むだけでも、あるいはアジャスト(矯正)一発、鍼1本でも結構何とかなる。多分「四十肩・五十肩はお任せ下さい」とうたっている治療院、整体院のほとんどは、こういう意味で四十肩・五十肩という言葉を使っているんだろう。ただ、稀に重篤な疾患が隠れている可能性があるので、以外にコワイものでもある。

さて、同じ四十肩・五十肩でも使う人によって意味が全然違う、ということがお分かりいただけただろうか。

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