ココロとカラダのコラム0010:一発で治る?
←前の記事 次の記事→
治療院の売りの1つに「○○が一発で治る」というのがある。その○○は腰痛であったり頭痛であったりするわけだが、それが「一発で治る」とぶち上げることで腕のよさをアピールしているわけだろう。けれど、腰痛であれ頭痛であれ他の何かであれ、そんな「一発で治る」なんてことを本当に確信を持って言い切ってしまえるものだろうか、と私は同じ治療業界に身を置く者として思ってしまうのだ。
以前、鍼灸灸師を対症とした掲示板「はりきゅう.com」というのがあって、そこで見た話。
腰痛で来ていた患者が別のところに引っ越すことになって、そこでいい先生がいるなら教えてほしいと頼まれたのだそうだ。しかし頼まれた先生、その地域には知り合いがいなくて、よさそうな治療院をネットで探すと「どんな腰痛も一発で治す」とHPで堂々とうたっている鍼灸院だか鍼灸接骨院だかがあって、「ここなんかどうですか」と教えたのだという。ところが後日、その患者から連絡があって、「教えられたところに通ってみたが一向に腰がよくならない。そこの先生に『どんな腰痛も一発で治るんじゃないんですか?』と聞いたら『あなたの腰痛は複雑だから、一発では治らない』と言われた」と。
それを書き込んだ先生は「やっぱり、よく知りもしないところを紹介しちゃダメだよね」ということで話を結んでいた、とおぼろげながら記憶しているが、それを読んで「一発で治る」なんてぶち上げていてもやっぱり実態はこんなもんか、と思ったものだ。
もう1つ、「一発で治る」が「一時的に改善させる」ことだったりすることもある。それすらかなり難しい患者もいるが、「一時的に改善させる」だけでよければ比較的多くの患者で可能だ。世の中にある「奇跡の」とか「革新的な」とか枕詞(まくらことば)のついた療法のほとんどは、この部類だろう。
少し前に受けた治療系のセミナーでのこと。講師が受講者をモデルにデモをしてくれるというので手を上げてモデルになった。その時、私はちょうど左肘に痛みがあったので、デモとしてその治療をしてもらったところ、やってもらった直後は確かに痛みが50%程度まで軽減し、他の受講者からも「オオッ」と声が上がった。が、家に帰った頃にはまた元の痛みに戻っていた。それでも時間が経てば変わるのではないか、とちょっと期待するところもあったのだが、2,3日しても何の変化もなく…。正式な治療ではなく、あくまでデモだった、ということを差し引いても、講師があれほどその凄さを語っていた療法も所詮はこんなものか、という思いだけが残った。
世の中にまだ「一発で治る」なんて煽り文句を真に受けている人がどれだけいるのかわからないけど、そういった煽りは50から90%くらいは割り引いて考えたほうがいいよ、と言いたい。え、お前はどうなんだって? いや私、口が裂けても「一発で治します」なんて、できもしないことは言いませんから(笑)。
関連コラム コラム0027:心理的逆転を持つ患者 コラム0034:「これホントに治りますか?」と聞かれたら…
埼玉県草加市、川口市、八潮市、越谷市、東京都足立区千住、竹ノ塚の心身統合治療室
キネシオロジー(カイロプラクティック)、クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)、鍼灸(はりきゅう)、メディカル・アロマテラピー、フォーカシング、波動療法の総合整体治療院
蒼穹堂治療室(そうきゅうどうちりょうしつ)のホームページ
蒼穹堂治療室トップページへ