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ココロとカラダのコラム0013:[臨床例]膝の痛み

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これは治療院を始めて間もない頃に遭遇したケース。

Iさんは別の患者の紹介で来た。主訴は膝の痛み。日常生活では問題ないが、ジムに行ってスクワットなどをすると右膝に痛みが出るのだという。

調べてみると、右の膝裏にある筋肉=膝窩筋(しつかきん)が弱化していた。それを取ることで痛みは軽減するので、右膝に痛みをもたらす直接的な原因は右膝窩筋の弱化だった。
ところが次の回も、更にその次の回も、右膝の痛みはまだあって、取ったはずの右膝窩筋の弱化も戻ってしまっていた。ということは、膝窩筋の弱化は2次的に起こっていることであり、それを引き起こしている原因が別にあるということになる。

まずはキネシオロジーの内臓筋肉反射に基づいて考えてみた。内臓筋肉反射とは、それぞれの内臓器は特定の筋肉と対応関係があって、その臓器の異常は対応する筋肉の異常となって現れる、というものだ。例えば膝窩筋は胆嚢の関連筋である。なので胆嚢を調べてみた。
内臓マニピュレーションの触診によって胆嚢の持つ固有の動き=自動力を調べると、動きに異常がある。ビンゴだ! つまり胆嚢に何らかの異常があって、それが関連筋である膝窩筋の弱化を引き起こしていたわけだ。じゃあ、胆嚢の自動力を整えれば…と思ったのだが、なぜかその時、頭の部分が気になった。そこでIさんの頭部にTL(=キネシオロジーの用語で、手で触れること)していくと、右頭頂部にTLした時に筋反射テストで反応が出た。そこで、もしかしてと思って右頭頂部にTLしながら胆嚢の自動力を調べると、異常な動きがない! つまり胆嚢に出ていた問題もまた2次的なもので、その原因は右頭頂部にあったのだ。

そのことをIさんに説明して、何か心当たりはないか?と聞くと、Iさん「以前、スキーのジャンプで着地に失敗してコケて、右頭部を打ったことがある」と。そしてその時、膝も傷めたのだが、ずいぶん前のことなのでケガはもう治っている、とのこと。けれどもクラニオで頭蓋の持つ周期的な動きを調べると、右頭頂部に強いテンション(緊張)があって動きに乱れが生じていた。昔ジャンプでコケた時に受けた外力の影響がずっと残ってしまっていたのだ。
そこでクラニオでその右頭頂部のテンションを取ると、胆嚢の動きの異常も右膝窩筋の弱化も消えていた。

つまりIさんの膝痛は、スキーで転倒して頭を打ったことによって生じていたわけ。Iさんのケースは「頭を打って膝が痛くなった」という面白い症例だったため、今もよく覚えているが、こういう例を見ると、疾患別、症状別に原因を考える、というのがいかに無意味かがよくわかる。

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