ココロとカラダのコラム0070:揉み返しが出るということ
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揉みの施術を受けた人から、しばしば「揉み返しが出た」ということを聞く。
ちなみに「揉み返し」とは、揉まれた部分がその後、熱を持ったり痛んだりすることだ。
揉み施術を行う施術者(マッサージの国家資格を持つ有資格者とは限らない)の中には、患者に「揉み返しが出るのは、よくなっているということだ。その証拠に施術を受けていれば、だんだん揉み返しも出なくなるんだから」と説明している人もいる。
けれども、もちろんそんなもとはない。揉み返しが出るというのは、「不適切な力をかけられたために、体に炎症反応が生じてしまった」ということなのだから。
では、「施術を続けていると、だんだん揉み返しが出なくなる」というのはどういうことなのか?
それは「治っている」のではなく、揉みで加えられる不適切な力に対して体が反応しづらくなっているだけなのだ(だからずっと強揉みのマッサージなどを受け続けている人は、相当な力で揉まれても揉まれた感じがなくなっていく)。それは、体が外からの力に正常に反応しなくなっている、という意味で「治っている」どころかむしろヤバい状態なのである。
そもそも、ちゃんとした施術者は揉み返しなど起こさずに施術ができるわけで、もしも治療院、整体院で施術してもらったら揉み返しが出た、というなら、わざわざそんなところに通い続けることはないのだ。
ところで、「揉み返しが出るのは、よくなっているということだ」と強弁する施術者がいると書いたが、それはその施術者だけが悪いわけではない。
治療の世界もまたピラミッド構造をしたタテ社会で、多くの施術者は師匠から施術のやり方や考え方を継承している。つまり、揉み返しが出るような施術も「揉み返しが出るのは、よくなっているということだ」という理屈も、多くはその人が師匠から受け継いだものであり、その師匠もそのまた師匠からそれを受け継いだのかもしれない。
誰かが誤解に基づく間違ったやり方を身に付けると、それは拡大再生産されることになる。それは揉みに限った話ではなく、例えばキネシオロジーでもクラニオでも間違ったやり方が恥ずかしげもなくYouTubeにアップされていたりする。
吉田松陰は「妄(みだ)りに人の師となるべからず。又妄りに人を師とすべからず」と説いたが、本当に誰に付いて学ぶかは重要なのである。
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